成功すると、それで終わってしまう
イベントを企画し大成功、
勉強の成果が実って合格、
日々の努力のおかげで取引成立、
成功の陰には、成功の要因があるはずですが、成功の時ほど振り返りが少ないようです。
どうしてでしょうか?
失敗の時は反省し、失敗を学びに変えることができます。成功は、成功した時点で終わることが多いようです。
とても面白い現象です。
実は、「失敗は振り返るのに、成功は振り返らない」というのは、人間の心理としてかなり自然なことです。
主な理由は5つあります。
① 成功すると「結果」がすべてを肯定してくれる
イベントが大成功すると、
「よかった!成功した!」
という達成感が先に来ます。
すると、「なぜ成功したのか?」よりも、「成功した」という事実そのものに意識が向きます。
一方、失敗すると、
「なぜ失敗したんだろう?」
と原因を探さなければ、次に進めません。
つまり、
失敗 → 原因を探す必要がある
成功 → 原因を探さなくても、とりあえず問題が解決している
という違いがあります。
② 成功すると「自分の実力」と思いやすい
例えば、試験に合格したとき、
「一生懸命勉強したから合格した」
と思います。
もちろん、それは正しいでしょう。
しかし実際には、
- 勉強時間
- 勉強方法
- 過去問の使い方
- 試験直前の過ごし方
- 教えてくれた人
- 試験問題との相性
- 当日の体調
など、いろいろな要因が重なっています。
成功すると人は、「自分の努力」という分かりやすい原因だけで説明してしまいやすいのです。
③ 成功の直後は「次の仕事」に追われる
これも現実的には大きな理由です。
イベントが成功すると、
「終わった!よかった!」
と思った瞬間に、次の仕事が始まります。
失敗した場合は、
「次はどうする?」
と会議をするのに、成功した場合は、
「では、次のイベントをどうする?」
となってしまいます。
つまり、
成功 → 前に進む
失敗 → 立ち止まって考える
という違いが生まれます。
④ 成功には「複数の原因」があるため、分析が難しい
失敗は比較的、
「準備不足だった」
「連絡が遅かった」
など、原因を見つけやすい場合があります。
ところが成功の場合は、
「企画が良かった」
「スタッフが頑張った」
「天気が良かった」
「お客様が多かった」
「タイミングが良かった」
と、原因がたくさんあります。
そのため、
「結局、何が成功要因だったの?」
という分析が意外と難しいのです。
⑤ 一番怖いのは「成功を再現できないこと」
ここが、経営や仕事では特に重要だと思います。
例えば、
「今年のイベントは大成功だった!」
で終わると、来年また同じことをしても成功するとは限りません。
しかし、
なぜ成功したのか?
何が特に効果的だったのか?
偶然だったものは何か?
次回も再現できるものは何か?
まで考えると、成功が「経験」から「ノウハウ」に変わります。
成功したときこそ「成功要因分析」をする
私は、失敗の反省以上に、成功の振り返りが重要だと思います。
例えばイベントなら、
成功した
↓
なぜ成功した?
↓
成功要因を3~5個に分ける
↓
その中で、自分たちが意図的に作ったものは何か?
↓
次回も再現できるものは何か?
という流れです。
例えば、
「参加者が多かった」
だけではなく、
「開催3週間前からLINEで告知した」
「チラシではなく既存客への個別案内を増やした」
「参加者が友人を誘いやすい仕組みにした」
などまで掘り下げます。
すると、単なる**「成功したイベント」**が、
「成功する仕組みを発見したイベント」
に変わります。
さらに面白いのは「失敗」と「成功」の違いです
| 失敗 | 成功 | |
|---|---|---|
| 起こったこと | 目標未達 | 目標達成 |
| 人の反応 | 原因を探す | 喜んで終わる |
| 振り返り | しやすい | しにくい |
| 得られるもの | 改善点 | 再現可能なノウハウ |
| 放置すると | 同じ失敗 | 同じ成功ができない |
ですから、
「失敗から学ぶ」だけでは不十分。
「成功からも学ぶ」ことが必要。
と言えます。
そして組織として非常に強いのは、
失敗を責めるのではなく分析し、
成功を喜ぶだけでなく分析する組織
なのだと思います。
これは、標準化・仕組み化とも非常に相性のいい考え方です。
成功した人の「頑張り」を褒めて終わるのではなく、**「その成功を、他の人も再現できる形にする」**ところまで進めるわけです。
成功の再現性を高めるため、成功をより高度化するため、どんな仕組みを作るといいでしょうか?
はい。ここは経営や組織づくりで非常に重要なポイントです。
「成功した → 喜ぶ」だけでは、成功は経験で終わります。
**「成功した → 分解する → 記録する → 標準化する → 改善する」**まで行うと、成功が会社の財産になります。
私は、次のような仕組みが分かりやすいと思います。
「成功を仕組みに変える」6段階
① 成功を記録する
↓
② 成功要因を分解する
↓
③ 再現できるもの・できないものを分ける
↓
④ 成功のやり方を標準化する
↓
⑤ 次回さらに改善する
↓
⑥ 他の人でもできるようにする
① 成功したら「成功報告」を残す
失敗報告だけでなく、成功報告を必ず残す仕組みにします。
例えばイベントなら、
- 何をしたのか
- いつ、誰が、何をしたのか
- 何が特に効果的だったのか
- 予想以上に良かったこと
- 偶然うまくいったこと
- 次回も続けたいこと
を簡単に記録します。
重要なのは、長い報告書にしないことです。
「成功要因3つ」くらいでも十分です。
② 「結果」ではなく「原因」を記録する
例えば、
「イベント参加者が120人だった」
だけでは、次回に役立ちません。
そこで、
なぜ120人集まったのか?
を掘り下げます。
例えば、
結果
参加者120人
要因
- 3週間前から告知した
- 既存顧客に個別案内した
- 友人を誘いやすい企画にした
- スタッフ全員が声かけした
- 前回より参加費を下げた
というようにします。
ここで大切なのは、
「成功したこと」と「成功させた要因」を分けること
です。
③ 「再現できる成功」と「偶然の成功」を分ける
これが非常に重要です。
例えば、
「当日は天気が良かった」
これは成功要因かもしれませんが、基本的には再現できません。
一方、
「開催3週間前からLINEで告知した」
これは再現できます。
そこで、
| 成功要因 | 再現性 |
|---|---|
| 天気が良かった | × |
| 有名人が来てくれた | △ |
| 3週間前から告知した | ○ |
| 顧客に個別案内した | ○ |
| スタッフ全員で声かけした | ○ |
と分類します。
すると、「運が良かった」の部分と「自分たちの力」の部分が見えてきます。
④ 成功を「標準」にする
ここからが仕組み化です。
例えば、
「イベントの告知は開催3週間前から始める」
という成功要因が見つかったなら、
単なる経験で終わらせず、
イベント開催標準
としてルール化します。
さらに、
- 3週間前 → 告知開始
- 2週間前 → 再告知
- 1週間前 → 個別案内
- 3日前 → 最終案内
- 前日 → 確認
というようにします。
すると、
「前回の担当者が頑張ったから成功した」
から、
「誰が担当しても成功しやすい」
に変わります。
⑤ 成功した標準を、さらに改善する
ここで終わらせないことが大切です。
例えば、
前回
LINE告知 → 120人
だったとします。
次回は、
LINE+個別案内 → 150人
さらに、
LINE+個別案内+紹介制度 → 180人
というように、
成功した方法を基準に、さらに改善する
わけです。
これは、
成功 → 標準化 → 改善 → 新しい成功 → 新しい標準
という循環になります。
⑥ 「人」ではなく「仕組み」にする
最終的な目標はここです。
例えば、
「Aさんはイベント企画が上手だ」
ではなく、
「Aさんが成功させた方法を、Bさんでも実行できる」
状態にする。
つまり、
個人の能力
↓
成功事例
↓
成功要因
↓
標準
↓
教育
↓
組織の能力
という変換です。
そして、私は「成功会議」をお勧めします
一般的には、
失敗反省会
を行います。
これを、
「成功要因共有会」
に変えてみます。
例えば月1回、30分だけ。
成功要因共有会
① 今月うまくいったこと
② なぜうまくいったのか?
③ 偶然だったものは何か?
④ 再現できるものは何か?
⑤ 次回、さらに良くするには?
⑥ 標準化するものは何か?
この6つだけ話します。
すると、組織の学習サイクルができます
私はこれを図にすると、非常に分かりやすいと思います。
成功
↓
振り返り
↓
成功要因の発見
↓
標準化
↓
教育
↓
実行
↓
さらに成功
↓
もう一度振り返る
つまり、
成功を「結果」で終わらせず、「次の成功を生み出す材料」にする。
これが「成功の再現性を高める」ということだと思います。
さらに一歩進めるなら、「成功を再現する仕組み」と「成功を高度化する仕組み」は分けて考えるとよいです。
- 再現性=誰がやっても同じように成功できる
- 高度化=同じ成功を、もっと良くする
- 標準化=成功した方法をルールにする
- 教育=その方法を人に伝える
- 改善=標準をさらに良くする
この5つを組み合わせると、**「個人の頑張りに依存する会社」から「成功が積み上がっていく会社」**へ変わっていきます。



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